乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント

〈乳がん〉は遺伝性なのか

「我が家はガン家系」という言葉をときどき耳にすることがあります。日本では男性は2人に1人、女性は3人に1人は〈がん〉で亡くなるといわれているので、その言葉が多いのは分かります。

〈がん〉での死亡率が高い要因はさまざまあると言われていますが、そのなかでも”遺伝性“で〈がん〉に疾病する割合とか、”遺伝性“だった場合への対応方法を知っておきたいですね。実は私の家系もいわゆる〈がん家系〉で、女性系の〈がん〉が多く発症しているんです。

そこで、今回は私が体験し実感したことをお話しします。医学的に、また個人の状況がありますので、参考までにお付き合いください。

BRCA遺伝子検査

〈がん家系〉であっても遺伝性なのか、それ以外で疾病したのかを調べる方法として、採血をして血液検査で行われる『BRCA遺伝子検査』があります。この検査を受けることによって〈乳がん〉だけではなく、〈卵巣がん〉の早期発見にも役立つと言われています。

『遺伝子検査』を受けるタイミング

私の場合、〈がん〉と告知され、さまざまな検査や治療方針を決めていくなかで『遺伝子検査』は行われませんでした。家族にサバイバーがいることは伝えていましたが、とにかく「治療をしないといけない」と思っていたので、『遺伝子検査』があることすら知らず目の前の治療を続けていました。

しかし、あるとき『遺伝子検査』があることを知り、さらに遺伝性であれば再発率、転移率が高いということを耳にしました。私の場合は部分切除手術を行っています。もしも、遺伝性なのであれば、全摘も選択肢にあったのではないかという思いは今でもあるのは事実です。

遺伝性だったら

『遺伝子検査』のことを知ったのは、すべての治療が終わってからでした。聞いたのは担当医ではなく、以前から診てもらっている先生から「もしも遺伝性だったら、〈卵巣がん〉になる可能性が高いから早めに調べた方がいい。そして卵巣摘出を視野に入れても良いのでは」と言われたのがきっかけでした。

私も遺伝の可能性が高いとは思っていましたが、まさか〈卵巣がん〉になる可能性が高いことは知りませんでした。もしまた疾病して手術や化学療法をやるのかと思うと気が重く、それであれば事前に摘出してしまった方が良いのではないかとも考えました。

数年前、ハリウッド女優が「〈がん〉になる可能性が高いからといって、疾病していなくても先に手術をして事前摘出してしまうのか。だが、可能性が高いだけで、病気になっていないのに元気な臓器を摘出するのには抵抗がある」と苦悩していました。私も、もし遺伝性だった場合、自分の子どもに対してどのように伝えるべきなのか、今後の自分のモチベーションはどうするのかが思いつかないのが現状です。

現在治療中の方、血縁者に〈乳がん〉経験者の方などがいらっしゃる場合、今後の治療やモチベーションに変化があるかもしれませんので、『遺伝子検査』を受けるかどうか一度検討されるのもいいかもしれません。

サポーター

関口明子
関口明子
フットケアセラピスト/ヨガインストラクター。
2020年9月、乳がんの告知を受ける。術前抗がん剤治療、部分切除手術、放射線治療を経験。治療中にヨガと出会い、ヨガインストラクターの資格を取得。ヨガインストラクターとして、キャンサー向けのヨガや幼稚園児(娘)を抱えるなかでの治療経験をふまえ、乳がん経験者だからこそできるサポートを展開中。


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