自分らしく

想庵にて〜2020. 冬

めぐり

想庵の門の脇に植えている満天星躑躅(ドウダンツツジ)が真紅に色づきました。ウィルス騒動は収まるどころか、深刻さを増していますが、木々は静かに季節のめぐりに身をゆだねているようです。黙々と、淡々と、そして正確に。地球上で人間だけが、文明というものを発達させた選ばれし種であるということには、確かにうなずけます。でも、植物たちのこの静かな生き方を見ていると、「もう、とても及ばない」といった敬意や感慨深い気持ちで胸がいっぱいになります。

さて、庭では植えた覚えのない草木が、いつの間にか芽を出しています。風や鳥、虫によって種が運ばれるのですね。季節だけでなく、生き物たちのこうした「めぐり」の仕組みも大いなるものです。この生き物たちの「めぐり」の仕組みのなかに、私たち人間は今もちゃんと仲間として存在しているのか、考えさせられます。

変身 干し柿

東京の下町に生まれ育った私にとって、つい数年前まで干し柿はいただく物、あるいは買う物でした。恥ずかしながら、渋柿から干し柿がつくられるということも、大人になるまで知らずにいたのです。

先日、渋柿をいただきました。去年も干し柿をつくったので、今年はさらにおいしくしようと意気込んだものの、干すのには暖かすぎると思われて、3日ばかり冷蔵庫に保管しました。2個が柔らかくなってしまいましたが、かまわずブランデーをまぶして軒下へ。

2日後、堅いままのものは大丈夫でしたが、柔らかくなっていた2個には、それはそれは小さなハエのような虫がたかっているではありませんか。慌てて取り込んで、洗い、さてどうしたものか…。

ダメモトでそれらをひと口大に切って、ガラス瓶へ。そこにブランデーを注ぎ、ほんの少しのお砂糖をパラパラ。漬けること数日。ブランデーの香りと透けるようなオレンジ色、トロリと輝く素敵なお菓子に変身していました。寒い夜の紅茶のおともにピッタリです。

「来年は、はじめからこれをつくろう」と思ったほど、気に入ってしまいました。こんな思いがけない展開があるので、手づくりチャレンジは楽しいものです。もちろん、正統派干し柿もつくるつもりです。

サポーター

みうら ゆきこ
みうら ゆきこ
元高等学校教諭。
現在は都内の病院のがん情報センターに勤務、がん患者サロンの運営に携わる。
一方、日本舞踊、江戸小唄をはじめ日本の伝統文化をこよなく愛する生活を送っている。

プロフィール