自分らしく

絵本は心の羅針盤(1)

絵本は子どものために書かれたものですが、大人にもいいものです。心に響いたり、深い気づきがあったり、忘れていた思い出がよみがえったり…。大人の心に響く絵本を、絵本セラピストの大江美保子がお届けします。今回は私が、絶望の淵に迷い込んだときに出会った「心の羅針盤」(絵本)の話です。

てこちゃんが、でこちゃんになった

幼稚園に通うてこちゃん。ある日、お母さんに髪の毛を切ってもらい、前髪を短くされてしまいます。家族は「てこちゃんが、でこちゃんになった!」と大笑い。しかし、道行く人もおでこを見て笑っているような気がして、てこちゃんは自分のおでこが大嫌いになってしまいます。

そんなてこちゃんに飼い猫やお兄ちゃんが解決策を教えてくれますが、うまくいきません。奇跡を願いながら眠るのですが、朝になっても当然、前髪は短いまま。とうとう、てこちゃんは「幼稚園に行くのは嫌だ」と泣きだしてしまいます。

そのとき、お姉ちゃんが「ちちんぷいぷいのぷい」というおまじないとともに、てこちゃんの大好きな「苺」のピンで前髪をアレンジしてくれました。てこちゃんは可愛くなったおでこが大好きになり、すっかりご機嫌になって無事に幼稚園に行くことができたというお話です。

進む方向、見る方向

前髪を切られすぎるっていうことは、幼い女の子にとっては、絶望的な出来事。そんな出来事を切り抜けたおまじないのアイテム。それは大好きな「苺」のピンでした。

絶望的な出来事に見舞われたとき、「大好きなもの」は元気にしてくれるエネルギーになるのでしょう。絶望的になるとき、どうしようもできないとき、辛いことに見舞われるときは人生に何度か訪れます。私にとって乳がんの宣告は、まさに絶望の淵に立たされた出来事でした。そんなとき、「大好きなもの」があると、生きる希望を与える物凄いパワーを与えてくれるのだと気づきました。絵本が絶望の淵から私をなんとか明るい方向、楽しい方向へと導いてくれる「心の羅針盤」になってくれた瞬間でした。

みなさんの「大好きなもの」は何ですか? それは絶望の淵から救い出してくれる物になるかもしれないですね。

▼『でこちゃん』
作・絵:つちだのぶこ 出版:PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-68209-9

サポーター

大江美保子
大江美保子
絵本セラピスト®︎/心理カウンセラー
プログラマー、シナリオライターなどを経て、3人の子育て中に絵本の読み聞かせのボランティアを始める。
2015年6月、乳がんの宣告を受け絶望のどん底に突き落とされる。そのとき、何気なく手にした一冊の絵本『でこちゃん』(つちだのぶこ作/絵 PHP出版)から深い「気づき」を受ける。絵本が大人に与える力に感銘し、その体験から『絵本セラピスト®️』となり活動開始。
病院や患者の会、子育てサロン、カフェにて大人の人に絵本を届けるセミナーを毎月開催。
エッセー風の絵本紹介ブログ、メルマガを毎日更新している。

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