自分らしく
〈絵本は心のお薬〉(7)『おもいで星がかがやくとき』
絵本は子どものために書かれたものですが、大人にもいいものです。心に響いたり、深い気づきがあったり、忘れていた思い出がよみがえったり…。大人の心に効く絵本を、絵本専門士で絵本セラピストの大江美保子がお届けします。
私は、その人が生きていた証
ねずみのピナはある日突然、大切な人を亡くしてしまいます
周りの仲間たちは
「大切な人は、お星様になって遠くからピナの事を見守っている」と教えてくれます
そこで、ピナはそのお星様に会いに言ってくると旅立ちます
二人でよく行った
海へ探しに行ったり
水辺を探したり
花畑を探したり
etc
淡く幻想的ななかを探すピナ
なんとか、やっとの思いで見つけた星
でも、一番星は言います
「あなたが探している人はもう、どこにもいない」
そして二番星は言います
「悲しいときは心のままに泣いていい。ふたりの話を聞かせてほしい。その人が生きていたことをあなたと感じられるから」
そして三番星が言います
「あなたは、その人がこの世に生きていた証。思い出でその人を照らし続けてあげて」
美しくて切ない…そして優しいお話です。
効能
大切な人とのお別れは、とても辛く寂しいです。
生まれたからには、必ず「死」はやってきます。そしてその別れは、もう二度と会えないということを意味します。残酷で、なかなか受け入れられません。
でも…「私は、その人が生きていた証」。そう思うと、悲しんでばかりではいられません。胸をはって、凛として生きていこうという気になります。大切な人のぶんまで…。
そして、また思うのです。いずれ私がいなくなったとき、誰かの思い出となり生き続けていく…そう思うと、何気ない今のこの日常もとても愛おしく大切に感じられます。
悲しいけれど、美しく凛となる効能のある絵本です 。みなさんには、大切な人とどんな思い出がありますか? また、どんな思い出を周りの人に残して生きたいと思っていますか?
▼『おもいで星がかがやくとき』
著:戸根里衣 発売:NHK出版
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000361272017.html
サポーター
- 絵本セラピスト®︎/心理カウンセラー
プログラマー、シナリオライターなどを経て、3人の子育て中に絵本の読み聞かせのボランティアを始める。
2015年6月、乳がんの宣告を受け絶望のどん底に突き落とされる。そのとき、何気なく手にした一冊の絵本『でこちゃん』(つちだのぶこ作/絵 PHP出版)から深い「気づき」を受ける。絵本が大人に与える力に感銘し、その体験から『絵本セラピスト®️』となり活動開始。
病院や患者の会、子育てサロン、カフェにて大人の人に絵本を届けるセミナーを毎月開催。
エッセー風の絵本紹介ブログ、メルマガを毎日更新している。
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