自分らしく

人類最古のパートナーと暮らす

3年前から犬を飼い始めました。前の飼い主はアニマルホーダーでした。多頭飼育崩壊によるネグレクト状態だったようで、適切に飼育されておらず、身体を洗ってもなかなか取れない目脂の跡がありました。散歩に行ったこともなく、おぼつかない足取りで周囲をキョロキョロと自信なさげに見渡している子でした。

犬を飼うのが夢と貴方は言う

実家で飼っていた犬を亡くしペットロスに陥ったときから、こんな哀しい思いをするならもう犬は飼わないと決めていたので、夫の「犬を飼うのが夢」という告白を聞いたときは、卒倒しそうになりました。

ただ、心のどこかで「また犬と暮らす生活をしてみたい」と思う気持ちがあったのか、夫には「犬を飼うなら、なるべく保護犬にしたい」という条件を出しました。保護犬という条件は出したものの、ペットショップ、ブリーダー、保護犬カフェ、アニマルシェルターを可能な限り見て周り犬の情報を集めました。ですが、心の底では迎える準備ができていなかったのか、探している素振りだったような…どっちつかずの気持ちだったと思います。

縁あってお世話になるアニマルシェルターから犬を引き取ることになったのですが、犬とのお見合い後、引き取り日の直前になって私が我儘を言い、譲渡のトライアルではなく一時預かりという形にしてもらいました。少し長めの猶予をいただきたかったわけです。このときの気持ちは上手く表せないのですが、多分いつか来る別れの日を想像するだけで怖かったのだと思います。

犬との暮らしはきらめきの日々

アニマルシェルターでお見合いをしたとき、犬は極寒の地に裸で放り出された人間のようにブルブル小刻みに震えていました。「怖い…怖い…」という言葉が伝わってくるような終始不安げな顔だったので、「一時預かりとはいえ、我が家で生活していけるのだろうか」と少し不安でした。その様子を見たパートナー(※犬を飼ったことは一切ありません)が「この子にします!」と言い出し、また卒倒しそうになりました。

ところが、一時預かりで我が家にやってきた犬は、家に着くなり我が物顔で家のなかを探索し始めました。彼も自分だけの家族を待っていて、私たちは自分のパートナーとして暮らしていける人間なのかチェックしていたのかもしれません。いろいろなところの匂いをクンクン嗅いでいる様子は、少し楽しそうに見えました。

我が家に来てから一ヶ月後、夫と散々話し合い、家族として正式に迎えることにしました。今では言葉では言い表せないほどの喜びと気づきをたくさん与えてくれる、かけがえのない存在です。