自分らしく
むらさきつゆくさ
むらさきつゆくさ
すっとした長い葉に
束ねられたちいさなつぼみ
毎朝 順に顔を上げて咲く
今日が私の番
明日はあなた
羽のように軽い紫色は
1日の終わりにはつぼみ
眠る白鳥のように
静かに首をうなだれて
もうそのままになる
すべてのつぼみが1回ずつ
その営みを終えるまで
しずしずと 順を守って
むらさきつゆくさは
時の流れに受けとめられていく
以前勤務していた学校では、グラウンドの隅に『むらさきつゆくさ』がたくさん咲いていました。数本をはさみで切ってきて、「無料の花を飾りますね」などといって教室の花瓶にさしたことを思い出します。グラウンドからもらってくるときにはなんとなく気がとがめますが、花がある教室は気分が良いものです。
あるときは、グラウンドに続く道に『あじさい』がたくさん咲き始めたので、まだ色づく前のうすみどりの花をチョキンといただいてきました。『あじさい』の赤ちゃんのような一輪でした。水を替えたり、水切りをしたりしていると、結構長持ちします。
2週間たったころ、うすみどりがだんだんと青っぽい色に変化してきたことに気づきました。あわててその花の家族たちを見に行ってみると、みんな濃い青色になっていました。「あそこで咲いていたら、こんなに美しい青色になれたのだ」と思ったら少し申し訳ない気持ちになりました。
また、あるときは、家の近くで名前も知らない小さな雑草がたくさん生えているのを見つけました。きっと部屋のなかでは長持ちしないとわかっていたのですが、ひと束つんできてコップにさしてみました。部屋のテーブルの上に日だまりができたみたいでとても素敵な空間に思えました。思わずにっこりと見つめていたら、突然小さなアリがテーブルを走り出しました。
「ああ、1匹迷子をつくってしまった」と、その日もやっぱり反省したのでした。
サポーター
- 詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。
プロフィール