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国民病の〈頭痛〉には、鍼灸治療が効果的

パーソナルトレーニングと鍼灸・理学療法士をしている塩川です。

日常生活の支障度ランキングで常に世界第2位〜3位に位置しており、慢性化しやすい疾患の代表例でもある〈頭痛〉。以前から「鍼灸治療が頭痛に有効」だといわれていましたが、近年の研究でそのメカニズムがはっきりとわかってきました。また、その効果を証明するように「頭痛のガイドライン2021」にも有効な治療法の一つに鍼灸が挙げられています。

今回は鍼灸治療が有効な〈頭痛〉のタイプや鍼灸治療がどのように〈頭痛〉に効くのかご説明していきたいと思います。

鍼灸治療が有効な頭痛のタイプ

〈頭痛〉には筋肉の緊張や脳の過活動から脳血管の問題など、緊急性が低いものから高いものまでさまざまなタイプが存在しています。そのなかでも鍼灸治療が有効な2つを紹介します。

(1)片頭痛
脳の感覚情報を処理する視床・視床下部が過剰に活性化し、痛みを引き起こす神経伝達物質が放出されることで発生する頭痛です。季節の変わり目や雨が降ってるときなど、自律神経を刺激する要因が引き金となります。

片頭痛の特徴として、痛みが出る前から回復するまでの5つの周期があるということです。以下の表はその周期と心拍数や発汗・ホルモンの分泌量を分析して、頭痛時の自律神経の状態を表しているものです。

頭痛

●予兆期
頭痛の48時間前後に肩こりやあくび、食欲増加などの発作が出てきます
 ↓
●前兆期
徐々に痛みが出始めます
 ↓
●頭痛期
痛みのピークを迎えます
 ↓
●寛解期
徐々に回復します
 ↓
●回復期
正常に戻ります

薬との相性や服用するタイミングが重要になってきますが、「予期不安」という頭痛が起きるかもしれない恐怖から薬が効果的でないタイミングに服用してしまい、薬が効かないケースも多々見られます。最悪のケースとしては、「薬がないと不安になる薬物依存症になる」
こともあるそうです。

(2)緊張型頭痛
肩こりや噛み締め、過度なストレスなどが筋肉を過緊張させ、血行不良や神経圧迫によって出現する頭痛です。〈頭痛〉が発生する前に筋肉の緊張やストレスといった要因が絡んでいることを特徴としています。マッサージや睡眠をとることで難を逃れている方も多いのではないでしょうか?

鍼灸治療が効くメカニズムとタイミング

上記2つの頭痛は、鍼灸治療の効果が認められているタイプになります。では、鍼灸治療が効くメカニズムはどのようになっているのでしょうか?

片頭痛に対しては、首・肩コリや頭痛の出やすい周辺や効果的なツボに鍼灸を行うことで、過活動を起こしている視床や視床下部の働きを鎮静化させます。鍼灸治療を受けるタイミングとしては、1ヶ月に1〜2回ほどの頻度で定期的に鍼灸治療を受けることで頭痛発作を抑える効果が期待できます。

緊張型頭痛に関しては、頭痛が出やすいコメカミやアゴの周辺に鍼灸治療をすることで血行不良や神経の圧迫を和らげる働きが期待できます。こちらも1ヶ月に1〜2回ほど予防的に鍼灸治療を受ける他、痛みが出てから治療を受けても効果を期待できます。

日本人を1億人とすると、片頭痛は840万人、緊張型頭痛は2,240万人が悩まされているという状況です。今後は病院だけでなく、鍼灸治療も選択肢のひとつにしてみるのはいかがでしょう?

サポーター

塩川大輔
塩川大輔
1988年1月1日生まれ。
鍼灸師免許取得後、都内の鍼灸整骨院や病院、デイサービスで働くと同時に、先天性心臓疾患の子どもたちに施術や運動療法を行う。病院勤務時代には、末期癌患者様への緩和ケアを経験。
現在、パーソナルトレーニングと鍼灸マッサージでコンディショニングを整える『TEETER TOTTER』に所属。休日には、『EURO football academy』のGKコーチ兼トレーナーとして活動。

プロフィール