乳がん生活:患者力:頼れるプロ

手術後の痛みは傷口だけじゃない

西麻布でパーソナルトレーニングと鍼灸・理学療法士をしている塩川です。

手術は、怪我や病気を患った人が最終手段として選択される治療法の一つです。悪いところを取り除いたり縫うことで、目に見てわかりやすく「治った!」と思わせてくれます。ただ、手術後の“痛み”や“治癒過程”を説明されることはほとんどなく、手術後から数週間、「こんなはずではなかった…」と後悔している方をたくさん見てきました。

私はアキレス腱断裂を2回、前十字靭帯断裂を1回経験しましたが、手術直後の痛みもほとんどなく日常生活に戻ることができ、不安や後悔など全くなく過ごしています(そんなにたくさん大怪我をして、後悔がないのはどうなのか…というのは一旦、横に置いときましょう)。

手術直後の痛みは大きく分けて2つあります。

皮膚や筋肉・筋膜などの組織切断による痛み

痛みを感じる受容器や神経を傷つけることで、鋭い痛みや鈍い痛みが発生します。この痛みは薬やアイシングでかなり軽減するため、あまり心配しなくて大丈夫です(私はほぼ痛みを感じませんでした)。

薬についてはドクターが適切に対処しますから、「薬がどのくらい強いものなのか」「効果がどのくらい継続するか」を事前に聞いておくとより安心できるでしょう。薬の効果が切れて痛いときは、看護師さんに早めに伝えてください。

“浮腫み”が出ることによる強い痛み

血管を傷つけることで大量の内出血を起こし、発生する痛みです。「打撲した箇所を触られ続けているような痛み」というとイメージしやすいのではないでしょうか。この内出血は、健康であれば体を動かすことで身体中を循環して心臓に戻りますが、怪我や手術後は体の末端に溜まってしまい、浮腫みとなります。そうすると皮膚や筋膜・筋肉の間、体の末端に残り、痛みを引き起こすわけです。「たかが浮腫みでしょ?」と思いがちですが、侮ってはいけません。かなりの激痛を引き起こし、痛みに慣れていない方は眠れなくなるほどの激痛に感じます。

痛みの発生は心臓の拍動と同時に起きたり、痛い場所を心臓より下にさげたときにズキズキと痛み出します。対処法がわからないと、数日から数週間にわたって続くことも。さらに、「治った」と思ったらまた痛みだすため、「治らないのかな?」といった不安で精神的ストレスを感じることが少なくありません。しかし、適切な処置をすれば、こういったストレスとはほぼ無縁のまま退院することができます。

次回は、「浮腫みによる痛みを軽減させる方法とグッズ」をご紹介いたします。ちなみに、私が膝の手術を受けた日に同じ手術を受けた患者さんは、この方法とグッズを知らなかったため、その後のリハビリもなかなか上手く進まなかったそうです。

今後、みなさんやお知り合いが何かしらの手術をお受けになる際は、ぜひ、お声かけください。いろいろサポートいたします。では、また次回。

サポーター

塩川大輔
塩川大輔
1988年1月1日生まれ。
鍼灸師免許取得後、都内の鍼灸整骨院や病院、デイサービスで働くと同時に、先天性心臓疾患の子どもたちに施術や運動療法を行う。病院勤務時代には、末期癌患者様への緩和ケアを経験。
現在、パーソナルトレーニングと鍼灸マッサージでコンディショニングを整える『TEETER TOTTER』に所属。休日には、『EURO football academy』のGKコーチ兼トレーナーとして活動。

プロフィール