自分らしく

歩道もいろいろ大変ね

大阪のすぐれもの

2008年、単身赴任していたころの大阪の歩道では、自転車に施す便利なものが流行っていた。それは雨の日でも自転車に乗りながら傘が差せる器具で、ハンドルの左右どちらかに傘を固定させるものだった。

その名も『さすべえ』。発祥の地がどこかは不明だが、大阪では主におばちゃんたちが活用していた。乗るほうにとっては便利なのだが、視界が狭まる難点がある。傘に隠れて前が見えにくいし、歩いている人の傘やカラダをかすめたり…。

スマホ命の人々

2024年、東京の歩道はどうか。歩道や駅構内にかかわらず、歩きスマホの若者が多い。偏見交じりに言えば歩きスマホは若い女性に多い気がする。もちろん電車のなかでは老若男女の誰もが下を向いてスマホを見ている。姿勢は似ているが、以前多くの人が情報収集のために新聞や雑誌を読んでいた風景とはまるで違う。片時もスマホを手放せない依存症である。

大勢の人が歩道や駅の構内を下を向いてスマホを見ながら歩いている光景はどこか異様だ。でも、不思議なことにぶつかりそうでぶつからない。すんでのところで顔を上げ、進路を修正する。若いお嬢さんたちが悪い人に狙い撃ちされなきゃいいけどなと願うばかりである。

歩道は怖いよ

我が家の近くの歩道は、ゆるい傾斜の坂道。そこを上り下りの自転車が歩行者の脇をリンも鳴らさずカッとんでいく。電動アシスト付き自転車の前と後ろに幼子を乗せて移動する若いママやパパには敬意を表したいが、もう少しゆっくり移動してもいいんじゃないかな。

さらに最近は、ヘルメットも着用しないキックボードの若者が車道や歩道をさっそうと行ったり来たりする。これは見た目気持ち良さそうなのだが、運転免許なしでOKなので怖い。もっと恐ろしいことは、スマホ自転車が増えていることだ。右手にハンドル、左手にスマホ!これに『さすべえ』がはやったらどうなることやら。

キックボードやスマホ自転車は規制を強化してしかるべき領域の問題だが、歩きスマホは規制以前に自分と他の歩行者の安全を守ることを学校や職場でももっと注意喚起していく必要のある話だ。そんなことを思って歩いていると、電線から鳩の糞が降ってきた! 危ない、危ない。歩道もいろいろ大変なのよ。

サポーター

伏見英敏
伏見英敏
1959年5月生まれ。
三陸食べる観光主宰/キャリアコンサルタント/日本健康太極拳協会準師範
人の話をじっくり聴くのが好き。そこに魚介類の肴と日本酒があれば、HAPPYです。

プロフィール