自分らしく

私が考える「スマホで上手に写真を撮る方法」(2)
特性とともに状況もふまえる

望遠側と広角側の特性を知って撮影しよう

前回のコラムでは、私はスマホのカメラをズームさせてから人物を撮っていることを紹介し、望遠側と広角側の特性を知って撮影することで残る写真に違いが出ることをお話しした。では、各々にどんな特性があるのだろうか。

たとえば、窓の前に立つ人物を撮影するとする。スマホのカメラを立ち上げたときの状態である一番広角側と3倍などにズームした望遠側で、人物の大きさが同じくらいになるように撮ってもらいたい。2枚を比べてみると、人物の大きさは同じなのに背景である窓の大きさが違うことに気づくことになる。望遠側の窓は大きく、広角側の窓は小さくなっているはずだ。

圧縮効果とパースペクティブこそ、その答えだ

これこそが特性なのだが、望遠側には圧縮効果があり、広角側ではパース(遠近感)が効いたことで窓の大きさが変わったのである。圧縮効果とは遠景が近景にギュッと近づいてきて大きく写った結果、それらの距離感が喪失される効果だ。パースについては、説明の必要はないだろう。

身体全体や脚がなんだか伸びたような写真を見たことはないだろうか。あれは広角側で撮った結果、「パースが効いている」のである。これを狙った場合を別にして、この特性を分からずに広角側で撮ると、少々気持ち悪い写真になり兼ねない。特に広角側で人物を近くから(それも上から)撮ると顔が大きく頭でっかちな写真に仕上がるだろう。反面、望遠側で撮ると、背景が大きくなることで顔が小さく見えて喜ばれるのだ。特に上から撮ると、その効果は大きい。

特性を知るとともに、状況を考えて撮影しよう

特性についてはお分かりいただいたと思うが、同時に状況も考えると良いだろう。スマホを渡されて撮影を頼まれたときに、いくら望遠側で撮ろうとも、折角の観光地で人寸ばかり大きい写真を撮って差し上げても喜ばれないかもしれない。

逆に広角側に設定して人物を中央辺りに配置し、風景のなかに溶け込んだ迫力のある全身写真の方が良い場合もあるだろう。このパースを活かした撮影こそ広角の醍醐味で、決して望遠側では撮れない写真になるのだ。掲載の写真は、随分と昔に超広角で撮影した海である。余程暇だったのか、分単位の一発撮りらしい。

最後に、人間の目で見ているのと同じような画角である標準域で撮影した場合だが、これは流石に安心・安定感のあるものになる。反面、主題の面白さを際立たせるなどの工夫がないと、なんだか普通でつまらない写真になる可能性もあることに気をつけたい。

サポーター

SHINYA MATSUMOTO
SHINYA MATSUMOTO
フォトグラファー。 趣味の風景写真が高じて、写真の世界に転身。ブライダルカメラマンとして人物撮影を学んだ後、現在は独立。
前景・背景を活かした人物写真、「表情」を引き出した風景写真を意識し、将来は両者の融合を目指す。
プライベートでも撮影を楽しみ、写真撮影においては大抵のことは苦にならない。

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