自分らしく

臨海学校とラジオ体操

令和の夏休み

新型コロナウィルスが5類に移行して初の夏休みも、間もなく折り返し地点を迎えようとしています。これまで我慢を強いられてきた子どもたちにとって、海や山でのレジャーに花火大会や夏祭りなどのイベントなど、楽しみなことが盛りだくさんです。

さて、そんな夏休みも私たちが子どもだった昭和の時代と近年では様子が変わっています。何といっても一番大きいのは期間が縮小されたことです。各自治体に差はあるものの、都内のたいていの公立学校は8月25日ころに夏休みが終了します。親子双方の悩みの種である宿題について、今ではかなりの量が減らされております。なかには全く出さない学校も出てきています。

わが子の小学校では最低限の課題のみの提示で、ありがちな市販ドリルは個の習熟度に対応できていない理由で学校一斉での購入を中止、自由研究や工作は任意課題となり提出不要となりました。それに伴い、夏休み作品展も廃止が決定しています。こちらは「教員の働き方改革」で先生方の負担を減らすのが理由のようです。今後も夏休みの宿題はなくす方向にシフトしそうです。

また学校の夏季水泳教室は、今年度から再開したものの、いまだに一回も実施されていない状況です。というのも屋外での運動が危険とされる『熱中症警戒アラート』が、教室予定日に連日発表されたためです。安全第最優先の立場をとる学校としては中止せざるを得ないでしょう。異常気象のため外のプールで泳げないほど危険な暑さになるなんて…。動物も植物も人間も、命の危険を感じる気候は昭和の時代にはなかったように思います。

臨海学校再開

一方で、今も続く夏の行事である『臨海学校』はというと、行動制限がなくなった今年は4年ぶりに従来同様2泊3日の日程で再開しました。この臨海学校の歴史は長く、日本での最初の実施は明治40年代の台東区や文京区で、あるいは大正14年の成城中・高等学校により行われたという説があります。以降、ずっと続いてきた行事も2020、2021年は全面中止、昨年は1泊2日に短縮し生徒を分散させての部分再開でした。コロナの影響がどれほど大きかったかはかりしれません。

そんな今年、対象学年の小学5年生になった息子が完全再開した臨海学校に行ってまいりました。南房総から帰ってきて2週間たっても、日焼けによる赤黒い肌は色褪せず、楽しかった3日間の写真を眺めては『臨海学校ロス』に陥っています。

事前準備の段階から多くの児童が楽しみにしていた傍で、見守る大人の思いは単純なものではなかったように今となっては感じます。感染拡大の第9波が始まったとの見方が広がっているなかでの実施に参加中止を判断をした家庭もあれば、参加したものの現地での発熱やクラゲに刺されるなどで医療機関の受診が必要となり、途中で保護者が迎えに行かなければならないケースもあったりで、ハラハラドキドキしながら待ち続けていた家庭は少なくなかったと思います。

それだけに、3日間の出来事をマシンガントークで話す息子の顔を見て、無事に帰ってきてくれたことに安堵しました。今までコロナで我慢してきたからこそ自然のなかでの集団生活の経験がいかに貴重なものかを実感できたことや、8月になってもロス状態になるほど多くの思い出ができる環境づくりを、細心の注意を払いながら引率・同行してくださった教職員にただただ感謝の思いしかないのでした。

夏休みのラジオ体操

臨海学校では6時30分からラジオ体操の時間で、朝から大勢の友だちと一緒に生放送の音楽に合わせて身体を動かすのが楽しくて気持ちよかったそうです。息子は今も「新しい朝がきた 希望の朝だ♪」の歌詞で始まる『ラジオ体操の歌』の歌を口ずさんでいます。

ラジオ体操は昭和3年11月が放送開始、つまり臨海学校より後に誕生したことになります。夏休みの朝、広場に町内会員で集まり、スタンプカードにハンコを押してもらった記憶がある方が多いのではないでしょうか。

この地域のラジオ体操会も昭和と令和のいまではかなり様子が変わっています。4年前に当時1年生の息子の付き添いで参加した際、子どもの参加は最大で5人でした。日によって2人しかいない日もあるのに対して大人は20人ほどの参加、そのほとんどが町内会幹部のシニア層で占められていました。私自身が小学生だった40数年前、子ども50人位に対し大人は4~5人程度の参加と全く逆の割合だった記憶がありますので、令和のラジオ体操の場で少子高齢化社会の縮図を見たような気がしたのです。

なお、この子ども会は2020年3月以降は活動休止となり、夏休みのラジオ体操会そのものがなくなりました。現在も活動再開の目処はたっていません。子どもの会員数増加が見込まれず、運営が厳しいというのが主たる理由です。少子化の時代の流れで廃止や活動縮小をする子ども会は少なくないようです。大勢の子どもが広場に集まる夏休みのラジオ体操、その光景を見られることはもうないのでしょうか。

令和のラジオ体操

ここで病気について触れます。悪性リンパ腫の化学療法が終わったとき、大量のステロイドの影響で半年で体重が9㎏増加してしまいました。2年後、その増加した体重を維持したまま〈乳がん〉と診断され、手術を受けることになりました。術後に乳腺科主治医から、「体重増加は〈乳がん〉の発症だけでなく、再発リスクを高めるから注意するように」と指導されました。何としても再発させたくないと焦った私は、そこから1年半でさまざまな運動に取り組み、元の体重に戻すことができました。そうです、9㎏の減量に成功したことになります。

いろいろと試したなかで続いた運動は次の三つでした。

(1)術後のリハビリ体操
これは病院から勧められたものです。動画に合わせて行うだけなのでいつでもどこでも自分のペースででき、費用は一切不要です。
▼参照
https://www.nyugan.jp/er-positive/post-ope/care/exercise/

(2)趣味のフラダンス
こちらは週一回教室に通っていました。レッスン代やパウスカート購入など費用が発生し時間的な拘束もありますが、私自身は他の生徒さんとお友だちになれて楽しく取り組むことができました。

(3)ラジオ体操
3分程度の短い時間に400以上もの筋肉を動かすことができるといわれるラジオ体操には有酸素運動と同じ効果が期待でき、子どもだけでなく大人世代こそ積極的に取り組みたい体操です。

腰やひざに痛みがあったりバランスを崩しやすい方のために、テレビ放送では座った状態での動きを見ることができます。以前のテレビ放送では女性のアシスタントがレオタード姿で体操していましたが、2021年10月からは男性アシスタントも入りTシャツと短パンで健康的に体操しています。このご時世、ジェンダーフリーの流れを汲んでいると感じられます。

「ラジオ体操ってどうやるんだったっけ?」と忘れてしまった方には、お手本を示してくれるテレビの方が取りかかりやすいと思います。私も朝の放送時間になったらチャンネルをNHKEテレに合わせて体操しているテレビ派です。「ラジオ体操の歌」はテレビで聞くことはできないので、今年の夏だけでも臨海学校ロスの息子を叩き起こし、ラジオに合わせて一緒に身体を動かすのも悪くないなと思っています。なお、「臨海学校」「ラジオ体操」ともに夏の季語です。

・NHK教育テレビ 毎日 (6:25〜6:35)
・NHK総合テレビ 月-金 (14:55〜15:00)
・NHKラジオ第1放送 毎日 (6:30〜6:40)
・NHKラジオ第2放送 月-土 (8:40〜8:50 12:00〜12:10 15:00〜15:10)

サポーター

MEG
MEG
キャビンアテンダントとして20数年勤務したエアラインを退職し、求職活動中。
ワンオペ育児・両親の介護・左乳房に発症した2つのがん(悪性リンパ腫/乳がん)と向き合う。抗がん剤、髄注、手術、放射線治療を経て、アロマターゼ阻害薬でホルモン療法中。
要介護4の実父、要支援1の実母、子どもは小3男児。趣味は9㎏減量に成功したフラダンス。
BEC乳がん体験者コーディネーター認定。令和元年度実施の国家試験で保育士資格取得。

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