自分らしく

残暑お見舞い

残暑お見舞い

少し力を抜いている
カンナのオレンジ色に
残る夏

もう動くことのない
あおむけのセミの脚に
残る夏

アリの巣の周りで
白く乾いていく土粒に
残る夏

まだ残る夏の中を
ゆっくり歩きながら
思いたちました
あなたに葉書を書こう

兵庫県三宮で、ランチを求めて猛暑のなかを歩いていました。地図を頼りに目指していたお店ののれんは外されていて、なんと「本日のランチ完売しました」の貼り紙。平日のランチタイムの混雑を外したので「しかたないかな」と思いながら、そのあたりで他の店を探してうろうろしていました。

小道に入ると、足場が組まれていて、飲食店の改装工事なのでしょうか、ヘルメットを被りしっかり長袖の作業着で働く皆さん大変そうです。狭い道で歩行者を誘導する方も大汗をかきながら「こっち通ってください~」と声をかけてくれました。道を抜けた先では、3人ほどの若者たちが、道ばたにだらっと座って笑いながらおしゃべりをしています。空調の効いた室内に入らずにいられるなんてたいしたものです。

突然「あーあ、どうしよう、停めるところないなあ、困ったわー」という大きな声が聞こえました。ふり向くと、首からタオルを掛けた女性が自転車を引いています。50代くらいの方でしょうか。どういう状況なのかつかめずにいると、先の若者たちが「おれたち、助けましょうか」と言ってさっと立ち上がり、ビル横に停められている自転車を次々横にずらし始めました。あっという間に隙間をつくり出し、「はい、どうぞっ」。女性は「ありがとね~」と自転車を入れて、さっとどこかに去って行きました。

困っているとき、あんなに大きな声を出せるなんて……、戸惑いなく「助けましょうか」って言えるなんて……。東京で見たことのない風景に、一瞬暑さのことを忘れました。

そのあと、ひっそりとしたいい感じのカフェをみつけて、ようやく涼しい空気のなかでおいしいランチをいただくことができました。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール