自分らしく
草木染
日本古来の染色の方法である草木染が密かにブームになっているようです。NHKのEテレでは8回シリーズで草木染の番組が組まれました。日本古来の手法を忠実に再現しようとしている方、自分で育てた植物で染めてキルト作品を作る方、地元の野菜の廃棄する部分を使って染める方、繭から糸を紡ぎ染めて帯を織る方など、多岐にわたった方々を紹介していました。私が師事している方も番組で取り上げられ、彼は桜と向き合い、きれいな染液を取り出して木綿を染め、洋服にする様子が放送されました。
私も草木染をしていますが、思いもよらない植物の部位から、思いもよらない色が染まる、その魅力の虜になっています。
日本茜
これまでにいろいろな草木染をしましたが、日本茜についてお話しします。茜草は華奢な植物で、山林に自生していても雑草と片付けてしまわれるかもしれないくらいか細い植物です。その根を使って染めます。土を落とし、水で洗い、細かく砕いたり切ったりして、それを煮出すのです。日の丸の赤、鎧の赤い組紐は茜で染められていたと言われています。
日本茜伝承プロジェクト 生産者(農業)と工芸
京都の美山で、休耕地の活性化の一環として日本茜の栽培に取り組んでいる女性がいらっしゃいます。作物を作るには消費する人が必要ですから、彼女は染色家たちに日本茜を積極的に告知しました。伝統工芸に携わる染色家たちは、作品を染めるに足りる量の日本茜が安定的に手に入るのでしたら嬉しいことです。そのパイプがつながり、日本の伝統的な染色である日本茜で染色する方が増えています。
工芸と文化
さらにこのプロジェクトは、日本茜が工芸品に使われるだけではなく、文楽の人形の衣装にも日本古来の草木染を使うことを提案し、それがうまくパイプがつながりました。文楽の人形遣いの吉田勘彌氏が遣う人形の衣装を日本茜と藍で染めたのです。農業と工芸、そして文化がつながり始めています。
私はといえば昨年末京都美山で日本茜を堀り、その根で染めてストールやインテリア小物を作りました。材料の出生地が分かって染めると、思い入れも違います。譲り受けた京絞りの布を日本茜で染めて、カルトナージュ(厚紙を組み立てて布を貼る)の手法で小箱も作製しました。私も日本茜伝承プロジェクトにちょっとだけ協力させていただいています。
サポーター
- フラワーデザイナー。
「女性が一生続けられる仕事は?」と思い、6年間の会社勤めを辞めて花の仕事を始動。フラワースクール、ウェディングブーケ、空間装飾の業務を続けるなか、介護が必要となった両親やがん治療中の家族などを通して花や植物のもつ力に注目。また、天然香料のアロマフレグランスの調合も実践。
有限会社アトリエオルタンシア 代表取締役
2014年 パリにて個展開催
2017年 パリの美術展Salon des beaux arts の招待作家として出展し、審査員特別賞を受賞
プロフィール