心にぽっと浮かんだ救命浮き輪を思っていたら、あの丸い形は安心な気持ちにつながるような気がしてきました。

日本の踊りでも、外国のフォークダンスでも、円になって踊るものがたくさんあります。外国のダンスは二重の円になってカップルで組んだり、一重の円で手をつないだりするものが多いのですが、日本ではあまり手をつなぎません。盆踊りに見られるように、一人ひとり間を空けて円になり、踊りの輪が少しずつ動いていきます。外国と日本とではダンスの表現は違いますが、手をつないでもつながなくても踊り続けるうちに心までひとつの輪になっていくことは、共通なのだと感じます。

小学校特別支援学級でダンスの授業をしていたときに、いつも最後にタタロチカというロシアのダンスを踊りました。小1から小6までの20人くらいのメンバー全員で輪になって踊ります。途中でひざをたたいてから両手を元気に挙げて「ヤクシー！」と叫ぶところがあり、これがみんなのお気に入りでした。「いいねー」とか「すばらしい！」という意味の言葉です。みんなで円の真ん中に向かって叫ぶと本当に心がつながるようでした。

このダンスが好きすぎて、私が小学校にやってきたのを見つけた2年生が「あ、ヤクシー先生だ！」と間違って叫んでしまい、照れていた表情が忘れられません。今は手をつないだり大声を出したりすることが難しい時期なので、どうして過ごしているのかなと気になっています。

フォークダンスや民踊ではありませんが、『WAになっておどろう』も、そのくり返しのフレーズに耳を傾けていると、輪になってみんなと踊っている気分になれます。「♪悲しいことがあれば もうすぐ楽しいことがあるから」「♪お～お～ さあ輪になって踊ろ ラララララ～ 夢を叶えるよ」と言われると、根拠がないのに大丈夫な気がしてきます。

いろいろなアーティストが歌っているこの曲ですが、MAY’Sの『WAになっておどろう~ILE AIYE~ feat. Fatman Scoop, ハーフ芸人オールスターズ』は、とびきり気持ちが弾むと思います。ぜひこの曲を聴きながら、椅子に座っていても腕で大きな丸をつくってみたり、片手で頭の上に大きな円を描いたりしてみてください。WAの効果を感じることができると思います。

さて、冬季の北京オリンピックが行われた先月は、オリンピックのシンボルである五輪をよくみかけました。5大陸を表すという5つの輪は、「世界中の人々が連帯し、つながっている大会である」ことに由来するといいます。よく見ると上手につながっていて、仮にそおっと1列にひっぱっても外れないようになっています。

しかし、5つの輪が象徴する平和の祭典であった冬季北京オリンピックからパラリンピックの間に、戦争が始まってしまい、心の痛む日々です。少しでも早く戦いが終わり、ウクライナや周りの国の皆さまの平和な日々が戻りますようにと願うばかりです。

サポーター

みやもと おとめ

詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

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