乳がん生活:乳がんについて:治療

標準治療って、「並みランクの治療」のこと?  違います

がん発症して、治療方針の話になったとき初めて聞く「標準治療」。
もっとレベルの高い治療がありそうですが…?

最初に「標準治療」という言葉を聞いたときの第一印象は、「普通の治療を受けていいの? もっといい治療があるの?」という感じでした。 自分もそうでしたが、標準治療という言葉で誤解している方は多いと思います。

標準治療とは「並みランクの治療」でなくて、「多くの臨床試験の結果をもとに検討がなされ、専門家の間で合意が得られている最善の治療法」、また「現時点で得られている科学的な根拠に基づいた最もよい治療」のことを「標準治療」と言います。

科学的に有効性や安全性が実証された治療法のことだと聞き、まずはこれを迷わず選択しました。 副作用などの影響も踏まえた上での多くの人に推奨できる治療法とも言えます。抗がん剤では、「現時点で最も治療効果が高い」「治療効果は同程度だが副作用が少ない治療法」などと理解していいと思います。もちろん副作用はありましたけど…。後悔したことはありません。

がんの治療は、技術の進歩や医学研究の成果とともに変化しています。現時点で、手術、薬物療法、放射線治療をそれぞれ単独で、あるいはいくつかを組み合わせた方法で行われるベストな治療法が「標準治療」なのです。

ほとんどの種類のがんにおいて、手術、薬物療法、放射線治療以外の方法は、科学的に有効性が確認されていないそうです。健康食品を摂るとしても「標準治療にプラスする」ということですが、標準治療以外を試したい場合も主治医に相談した方が安心ですね。

同じ乳がんでも一人ひとり治療内容が違います

乳がんの治療は、人によって異なります。 手術、ホルモン療法、抗がん剤、放射線治療などがあり、治療方針を決める際、それらのなか中から適切な治療の組み合わせを決めていきます。

標準治療は一つだけとは限らず、複数の治療法が示される場合もあります。 全員一緒の治療なのかと思っていたら、それぞれの人にとって「標準治療」は異なることを知りました。病気の状況(がんの大きさ、転移の有無、がんの広がり)、がん細胞の性質(悪性度、タイプ、増殖指標)、患者さんの身体の状態(妊娠、閉経、臓器の健康状態)、患者の希望などを考慮して決めていくいってみたら「セミオーダーの治療」とも言えそうなものです。

がんを告げられ「どうしよう…」と悩まれたら、まずは標準治療がおすすめです。

*国立がん研究センター がん情報サービスより
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html

*日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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