今年の10月1日は、東京都立多摩総合医療センター内に、がん患者さんとご家族の憩いの場『木洩れ日サロン』が開設されて10年目の日。病院内の講堂フォレストで開催された記念イベントに参加してきました。

いのちの落語講演。樋口強さん

プログラムの皮切りは、樋口さんの講演と落語。ご自身が肺小細胞がんを発症し、今でも全身の感覚神経マヒが残るも、執筆活動の傍ら全国で、そして海外でも「笑いは最高の抗がん剤」などのテーマで「いのちの落語講演会」を開催されているそうです。小噺なども教えていただき、なごみのひとときとなりました。

医師と患者の立場が逆になる創作落語には、とにかく笑いました。がん体験の先輩として、逆境やストレスを笑顔に変えるヒントを私たちに与えてくれている証拠です。「笑いは何より薬になる」は本当だと思います。

木洩れ日サロン十年のあゆみ

『木洩れ日サロン』は、当サイト「ら・し・く」の編集スタッフもお願いしている三浦由紀子さんが、がんを発症した当時、相談できる患者会もあまりなく、「同じ病気の患者同士で遠くに行かずとも、この地域の病院内で話ができたら」と、同じ志をもつ医療ソーシャルワーカーや看護師の方たちと協力して誕生した患者サロンです。

当時はがん対策基本法が始まったばかりで、患者のための院内サロンとしてスタートするまでに2年かかりました。しかし、これまでに1,500人の患者さんが参加するまでの規模になり、ミニミニ講習会は87開催、のべ92人の医療者、患者さんからは「診察のときと違って先生に相談しやすい」、また医師からは「患者さんの生の声が聴けて役立った」と好評を得ているそうです。

初めて訪れたとき不安で泣いていた患者さんが別の患者さんのサポートをするようになり、「患者さんも共に成長されているのだ」と思いました。

「最初から心がけていることは、お茶と小さなお花を生けている」と三浦さん。お茶を飲んでひと息ついて、けなげなお花を見てほっとしてほしいという、あたたかい寄り添う気持ちの表れでした。

病院と患者のコラボレーション

「落語講演」「木洩れ日サロン十年のあゆみ」とプログラムは進み、100名以上の参加者による「見上げてごらん夜の星を」の合唱は、ピアノとバイオリンの贅沢な生演奏で盛り上がりました。

その後、3つのグループに分かれて今日の感想を語り合い、あっという間の3時間を過ごしました。そして、何より驚いたのは、病院長の挨拶に始まり、閉会の挨拶も外科部長の先生と、病院の皆さんが一体となって患者サロンを盛り上げていることです。医療者と患者がお互いにリスペクトしながら、活動を支えている陰には、スタッフの方々が日々の活動を十年積み重ねてきたからこそ、と実感しました。