乳がん生活:乳がんについて:治療

抗がん剤、点滴中のこと

点滴注射を日帰りで6か月通う

抗がん剤治療には飲み薬や点滴方法などがありますが、私は点滴注射でした。通院は3週間ごとに約6か月。最初の3か月は「ファルモルビシン+エンドキサン+5-FU」、次の3か月は「ドセタキセル」と異なる種類の抗がん剤を投入しました。

病院に着くとまず血液検査を行い、その結果が出たら主治医の診察です。患者さんが多く、予約をしていてもこの時点で2時間待ちはざらでした。主治医の診察で血液検査の結果を見ながら、体調のチェック、大丈夫となったら点滴ルームに進みます。

点滴ルームで驚いたこと

一番驚いたのは、点滴してくれた看護師の方々の重装備。手袋やマスクは当たり前ですが、ガウン、大きなゴーグル、キャップなど、見たこともないような防護体制でした。大げさに言うと、原発事故現場をニュースで見たときのような印象でした。しかも、点滴の薬の種類を替えるたびに使い捨てです。

ある日、「すごい重装備ですね」と声をかけたら、「毒性の強いお薬ですから」とにっこり笑って答えてもらったのですが、「そんな毒性のある薬を体内に入れるのか」と身の引き締まる思いでした。調べたら、厚生労働省が「抗がん剤等に対するばく露防止対策」について文書を出していました。

▼抗がん剤に対するばく露防止対策
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/safety/koganzai/index.html

考えてみたら、患者である自分はそのときだけですが、看護師さんたちは朝から晩まで、毎日、そんな環境にさらされているわけで、大変なお仕事だと思いました。

点滴ルームではリラックスできました

3週間ごと、右腕左腕と交互に注射します。交互に注射しても、血管が硬くなってしまうのです。点滴は、注射で血管に抗がん剤を直接入れますが、私の場合は、最初の3か月は、生理食塩液、そのあとデキサメタゾン、生理食塩液、ファルモルビシン、生理食塩液、エンドキサン、生理食塩液、5-FU、生理食塩液と続きます。後半の3か月も同様に生理食塩液、デキサメタゾン、ドセタキセル、生理食塩液と点滴の薬の種類を替えながら、抗がん剤投与が約半年続きました。最初は、鮮やかなオレンジ色の尿を見たときには驚きました。

点滴の日は準備を入れて約3時間、その前の採血と診察を含めると一日かかるとあきらめ、他に何も用事はいれないことにして、ゆったりと過ごすようにしました。

点滴ルームはリクライニングシートがたくさん並んでいます。椅子の横にはテレビがついていて、イヤホンで見ることもできます。本を何冊か持参したものを読んだりしてリラックスするように心がけ、点滴中は特に不快に感じることはありませんでした。診察は午前中、午後から点滴開始でしたので、サンドイッチやおやつを購入して点滴しながら食べていました。点滴しながら、食事できるなんて知らなかったので、驚きました。

血管が痛くなったらホットパック

点滴中に、針の刺してある血管部分が痛くなったり、何度も点滴を繰り返すうちに硬くなって、注射針が刺しにくく、最後には針を入れるところがなくなり手の甲に注射していました。

針の先から冷たい薬液が入って痛みが増すような感じもありましたが、そのようなときは看護師さんがホットパックを貸してくれて、その場所にあててみたところ、だいぶ楽になりました。痛いまま我慢せず、ちょっとした工夫で痛みを軽減できるのだなあと感心しました。

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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