乳がん生活:乳がんについて:副作用

〈脱毛問題〉(2)なくなるプロセス

脱毛始まったら、あっという間に…

抗がん剤投与10日後、脱毛がいったん始めると、あっという間になくなりました。抜けるときは、頭皮がピリピリして帽子をかぶっても刺激を感じました。「ポワポワ〜ッ」とした髪がかすかに頭に残っているような状態です。

どんどん抜ける期間は最初の10日くらい。このときは、就寝中にも抜けてしまうので、不織布のキャップをかぶっていました。うちにいるときもこのキャップをかぶってから普通のキャップを重ねて着用して、抜け毛が床に落ちるのを防止。不織布のキャップは使い捨てなので、髪の毛が溜まってもそのまま捨てることができて便利でした。私が使用していたのはこちらです。

▼ヘアキャップ
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ウイッグ生活スタート

発症してから抗がん剤開始までが2週間と時間がなかったので、じっくり比較検討したり調べたりする間もなく、行きやすいターミナル駅のすぐそばにあるウイッグ専門店に飛び込んで、「医療用ウイッグ」というセミオーダーのウイッグを購入。肩につくくらいのセミロングだったので、「始末が大変になるから、その前にカットしたほうがいい」と言われ、ショートにしました。ショートにしてから、ウイッグ着用の練習も兼ねて髪が抜け落ちるまでの間にウイッグをスタートしたのです。

思い起こせば、何が嫌だったかって、抗がん剤の副作用のなかで「脱毛」だけは本当に避けたかったですね。しかし、主治医や友人の医者からも「また生えてくるから」と繰り返されて覚悟。ただ、まさかウイッグ生活がこんなに長く続くとは想像もしていませんでした。

抗がん剤開始から約1か月経つと、髪の毛はほぼない状態。しかし、皮膚がピリピリする感じは止まらず頭皮に吹き出物もできたりしたので、ウイッグの下には直接刺激がないように、薄いコットン製のガーゼキャップを着用していました。

最初に購入したウイッグ2種類

「医療用ウイッグ」に関しては、2015年から医療用ウイッグJIS規格化制定(JIS9623)が成立。直接、頭皮に接触するネット部、スキンベース部、インナーキャップ部などのパッチテストによる皮膚刺激数・ホルムアルデヒドや、洗濯による堅ろう度と汗による堅ろう度の性能、試験方法などが細かく定められているようです。

私は選ぶとき、「肌へのあたりが柔らかい「人毛ミックスで扱いやすい素材」「つむじ部分に地肌がついていて自然に見える」などのポイントで決めましたが、ハンドメイドのため高価なものが多いようです。依頼したセミオーダータイプのものも、なんと定価30万円! 治療に費用がどれくらいかかるのか不安のあるなか、痛い出費でした。私が購入したメーカーでは医療サポートということで20%割引でしたが、それにしても…。いつ脱毛が始まるか分からず、「在庫のあるものを、今、買うしかない」という追い詰められた状況で、1年以上は使うからと自分に言い聞かせました。

肩につくくらいのセミロングというイメージをあまり変えたくなかったので、似たようなスタイルにしました。毎日使うものでもあり、ひとつでは事足りないように思い、「自宅や近所用に少しカジュアルに着用できるものを」とキャップと組み合わせて使える簡易なものも購入しました。こちらは約1万円。この2つのウイッグ生活が、抗がん剤治療とともに始まりました。

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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