乳がん生活:患者力:頼れるプロ

〈術後運動〉手のしびれを改善する

前回のコラムでは、足のしびれ症状についてご紹介しました。今回は、手にしびれが残っている場合の運動プログラムについてです。私の経験則を多分に含んでおりますので、ひとつの例として参考にしていただき、実践の際は医師や理学療法士、または医療機関での経験があるトレーナーの指導のもと始めてください。

スタートは「握る」と「開く」

運動やトレーニングを開始するとき最初にやってほしいことが、手のひらを「握る」と「開く」の運動です。ジムに通われている方はダンベルを、ゴルフをされる方はゴルフクラブを、また日常生活でも何かモノを「握る」という動作はとても大切です。

手がしびれていると、「どのくらいの力で握っているのか?」という感覚が鈍くなります。そして多くの場合、握ると意識したときは強く、無意識のときは弱く握っていることが多いです。感覚が鈍くなっている場合、こぶしを握ったときの皮膚の色や、腕周りの筋肉の感覚を頼りに「握る」という動作を再度獲得していきましょう。

「握る」同様、「開く」という動作も大切です。特に意識してもらいたいのが、親指と小指の距離です。最大に手を開いた状態で左右の手のひらを見比べてみてください。親指と小指の開いている角度や距離感に差がある場合、手を最大まで開く練習をしてください。具体的なメニューは、動画で紹介しています。

▼手のしびれがあるときの運動
https://youtu.be/UR6CBdgC_OI
★無理せず、できる範囲で行ってください

呼吸を止めないことが大切

不安や怖さを抱えたままトレーニングをすると、力んで呼吸が止まりがちです。意識的に呼吸をすることで、血液循環を促すことができます。また息が止まると身体を固めてしまうため、身体を痛めてしまったり筋肉を硬くしてしまう要因にもなります。呼吸の原則は、次のようになります。

●息を吐くタイミング
持ち上げるときや引き上げるときなど、力を入れるとき

●息を吸うタイミング
重りを下ろすとき、スタートポジションに戻るとき

サポーター

長尾 樹
長尾 樹
1984年9月17日生まれ。
スポーツトレーナーとしてさまざまな競技チームと鍼灸マッサージ院で経験を積み、2014年より広尾にコンディショニングルームをオープン。
乳癌を発症してからゴルフに復帰するまでのクライアントのコンディショニングを総合的にマネジメントした経験をもつ。
資格:鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/JSPOアスレティックトレーナー

プロフィール