乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント
記録と記憶。あなたの思いや日々の出来事を文章に
あなた自身のために、備忘録のすすめ
「文章は読み手があってのもの」といわれますが、自分自身のために記録として残しておくこともいいものです。病院での検査、治療、つらかったこと、思い出すだけで涙してしまうことも、時間が経つと記憶は薄らいでしまいます。
単なるメモだけでなく、そこにそのとき感じたことや、ちょっとした体調の変化も添えておくと、より記憶が鮮やかによみがえります。検査待ちの時間の長さに、いらっとしたこと、疲れ果てたこと、窓ガラス越しの日差しの暖かさなど。あなただけの記憶が記録となって、これからの日々に役立つかもしれません。あの日々を乗り超えられたんだから、次もまた頑張れる…記録はそんな原動力にもなるのです。
あなたの思いを医療者にわかってもらうために
次の診察のときにこれを聞きたい、これを相談したいと思っていても、いざとなると半分程度しか伝えられないもの。あなたの自覚症状をあなたの言葉で伝えられるよう、メモをまとめていきましょう。患者からの情報提供が医療者の判断材料にもなり、効果的な治療へとつなげていけるのです。不安に思うこと、これからの治療への迷い、あなたが悩んでいることも言葉にしなければ伝わりません。
きっちりとした文章でなくてもかまいません。小学校1年生が初めて向き合う作文は、しゃべったことをそのまま文字にする口頭作文。「先生、さっき校庭で転んで痛かったんだよ」…こんな風に、まずは口に出してみる、そしてそれを文章にしていく。頭のなかで考えているより、文章にしていくことで自分の気持ちや状況が整理されていくことに気づくはずです。
今という時間は、やがて記憶のなかに消えていきます。記録することで、あなただけの大切な思い出が鮮やかによみがえります。辛い記憶も頑張った証として明日へのパワーに変えてみませんか。
笹田紀子
プロフィール
サポーター
- 笹田紀子作文レッスン主宰。
小中学生の作文指導、大学AO受験論文対策、就活ES添削など、書くことに自信をもたせるレッスンに10数年取り組む。幼小お受験指導では、若いご両親へ先輩としてのアドバイスも。
2011年、夫を末期の膵臓がんで見送る。抗がん剤、緩和ケアなど、共に歩んだ経験から闘病中のご家族の相談を受けることも多い。
趣味とする舞台観劇、宝塚やミュージカルなどからパワーを注入。
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