乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント
治療は意外にお金がかかる。使える公的支援制度とは
手術前にすでに数十万円の出費
抗がん剤治療が始まり、3週間ごとに通院のたび健康保険適用後でも毎回3~4万円は支払うことになりました。抗がん剤治療の翌日にはジーラスタという皮下注射で、減ってしまった白血球を増やす治療。こちらも、毎回3〜4万円支払いました。
さらに、治療前にはさまざまな検査をしたため、手術前にすでに50万円の支払い。その後、手術、放射線治療と続いたため、かなりの出費となりました。こんなとき、医療にまつわる支援制度をうまく利用したいものですね。
公的支援制度があること知っていますか?
治療を受けるにあたって、私たちが知っておくべき権利が3点あります。
(1)高額療養費制度
1か月間の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、超過部分の費用を公的医療保険で賄ってくれるというものです。保険適用の治療のみになりますが、これはたいへん助かりました。
(2)限度額適用認定証
医療費が高額になりそうなことが最初から分かっている場合は、先にこの「限度額適用認定証」の交付を受けておきましょう。医療機関や薬局の窓口で提示すれば、一度に多額の金額を払ったり、後々、払い戻したりする面倒な手続きは不要です。問い合わせ窓口は、ご自分が加入している健康保険組合です。国民健康保険の場合は、市町村の役所の担当窓口となります。
(3)医療費控除
一定額以上の医療費を年間で支払った場合に、納めた税金の一部が戻ってくるというもの。医療費控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。1月から一年間に支払った医療費が対象となり、家族の分もまとめて申告が可能です。虫歯の治療や、いつもの診療に加え、がん治療は抗がん剤や放射線、手術など高額であるため、すぐに10万円は超えてしまいましたから、私も助かりました。一年分の領収書を保管しておきましょう。
〈参考〉
▼国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter2-2/02-02-02.html
▼国税庁(医療費控除)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
サポーター
- 外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。
プロフィール
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