自分らしく
〈バレエへの招待〉(11)名作紹介 『眠れる森の美女』
童話から生まれた豪華絢爛のバレエ
19世紀末にマリインスキー劇場で初演された豪華絢爛たる作品で、当初の上演時間は4時間半だったといわれています。
国王と王妃の間に姫が生まれ、その誕生の宴が行われることになりました。しかし、何かの間違いで魔女カラボスだけが招待されず、怒ったカラボスは式場に乗り込んで「この娘は16歳の誕生日に、糸紡ぎの針で指を指して死ぬだろう」と予言します。しかし、祝福に来ていたリラの精の機転により、死の呪いを100年間の眠りに変えることに成功します。
16年の歳月が経ち、オーロラと名付けられた姫は、老婆(実はカラボスの変装)から受け取った花束のなかに隠された糸紡ぎの針で指を刺し、100年の眠りについてしまいます。それから100年後、隣国のデジレ王子が城に興味をもち、立ち現れたリラの精の導きで城のなかへと入っていきます。王子はそこにいたカラボスと戦って打ち倒し、オーロラにキスをすると、オーロラは100年の眠りから覚め、王子と結婚するのでした。
ダンサーの力量が試される『ローズ・アダージオ』
第1幕で16歳になったオーロラに、近隣の国から4人の求婚者がやって来ます。彼らはそれぞれにバラの花を持ちオーロラ姫に手渡すのですが、このシーンは『ローズ・アダージオ』と呼ばれています。なかでもラスト近くの、オーロラ姫が片足で立ち、左手を上にあげ(アティチュードといいます)、求婚者に右手を預けてそれぞれ1回転するという、とても難易度の高い振付けが有名で、ダンサーのテクニックの見せどころです。
また、第3幕のディヴェルティスマン(=余興、物語の本質と関係なく踊られる踊り)として踊られる『フロリナ王女と青い鳥』『白い猫と長靴をはいた猫』『赤頭巾と狼』など、他の物語からのゲスト出演のようなキャラクターの登場には心が躍ります。
大ラスの『アポテオーズ』(結婚式)の直前に踊られる『マズルカ』は、舞台上の人物全員が同じステップを踏む、グランド・フィナーレにふさわしい重厚な踊りとなっています。
サポーター
- お笑いバレエ・ライター。
子どもの頃からの憧れだったクラシック・バレエを30代から習い始める。この経験をもとにバレエ誌に寄稿するようになり、その後、バレエ関連のライターとして活躍中。
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