自分らしく

〈洋楽ポップス回顧録〉(8)愛のテーマ Love’s Theme

オーケストラ・サウンドとディスコ・ビートが一体化

壮大なオーケストラ・サウンドとディスコ・ビート、心地よいギターのカッティングが一体となって壮大な世界観を構築するインストゥルメンタル曲。そんな形容がふさわしい『愛のテーマ』(Love’s Theme)は、1970年代のアメリカのソウル・ミュージック界を代表する大ヒット曲として、ディスコだけでなく多くの場で流されていました。この美しい曲を創り出したのは、バリー・ホワイト(Barry Eugene White)。そして自身が編成したラブ・アンリミテッド・オーケストラ(The Love Unlimited Orchestra)の名義で1973年に発表しました。

私が最初に聞いたのは、やはり高校生のときに夜な夜な耳を傾けていたラジオですね。インパクトあるストリングスが絡み合うイントロが聞こえた瞬間、「これは気持ちエエ曲じゃ」といっきに魅了され、オーケストラが刻む音楽のなかに引き込まれました。特に弦を主にしたインストなので、落ちついた大人っぽい仕上がりにも何か新しさを感じたような気がします。

ストリングスのアレンジを聴いたバリーがインスト曲に決定

バリー・ホワイトは1944年に生まれ、ロスアンゼルスで少年時代を過ごします。幼い頃は、ジャズやクラッシック音楽を愛する母親のレコードを聴いて育ったようです。教会でゴスペルを歌い鍵盤楽器をマスターし、16歳のときには初めてのレコーディングも経験しました。そして、1960年代になるとソングライターやスタジオ・ミュージシャンとして活躍します。

1973年、『愛のテーマ』をシングル・レコードとしてリリースしましたが、当初はバリー自身のヴォーカルが入る予定だったそうです。しかし、ジーン・ペイジによるストリングスのアレンジを聴いたバリーは、その美しさにいたく感動し「自身のヴォーカルは必要ない」と判断したみたいです。

ちなみに、『愛のテーマ』は日本だと航空会社のCMに使用されていて、私たちにとっては空港とか飛行機をイメージするメロディーですが、本国アメリカでは長い間、スポーツ番組でゴルフを放送する際のオープニング・テーマに使用されていたとか。だとすると、アメリカの人たちにとっては鮮やかな芝の緑や大自然などを思い起こす曲なかもしれません。

いずれにしてもこの曲は、美しい風景が似合うロマンティックなメロディーで多くの人の心を惹きつけてやまないスタンダードだといえそうです。

▼〈洋楽ポップス回顧録〉(8)愛のテーマ Love’s Theme
https://www.youtube.com/watch?v=8YS7sWCG_ZE

サポーター

重森 光
重森 光
紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。

プロフィール