自分らしく

〈首都圏枝毛線巡礼〉(8)京王電鉄動物園線

ライバル出現で閑散路線に

『京王線』の『高幡不動駅』から分岐する『動物園線』は、その名のとおり、『多摩動物公園』を訪れるお客さんを運ぶために1964年に開業した比較的新しい路線です。
『高幡不動駅』を出発した電車は東から南西へとぐるりと方向を変え、丘の中腹を這いあがるようにして登っていきます。約5分ほどで終点の『多摩動物公園駅』に着きますが、駅を出ると目の前に立ちふさがるように『多摩都市モノレール』の駅がそびえたっています。この並行するモノレール線ができたおかげで、それまで沿線の大学への通学客や都心への通勤客がそちらへ移行し、『動物園線』はいっきょに閑散路線になってしまいました。

ピンクの車体に動物のイラストなどをあしらった電車が数えるほどのお客さんを乗せて走る姿は、なんとなくもの悲しささえ感じさせます。ですが、きついカーブを右に左に曲がりながら、眼下の谷間に広がる町並みを見下ろしながら走る車窓は、ちょっとした山岳鉄道の気分。それを楽しみながら乗るのも、またいいのです。

土方歳三ゆかりの寺へ

『高幡不動駅』へ戻り、『高幡不動尊金剛寺』にお参りしましょう。関東三大不動のひとつで、真言宗智山派別格本山、1100年前の平安時代初期に慈覚大師円仁が山中に不動堂を建立し、不動明王を安置したのに始まると言われています。奥殿に祀られたご本尊の『不動明王』は平安時代の作、その巨大さは近くで拝観すると圧倒されます。

おみやげは、門前にある『松盛堂』の『高幡まんじゅう』です。小柄なお饅頭で、粒あん(茶色)とこしあん(白色)があります。おや、『歳三最中』なんてものもありますよ。聞けば、『高幡不動』はあの新選組の『土方歳三』の菩提寺なんだとか。なるほど、納得。

サポーター

老田道夫
老田道夫
フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。

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