自分らしく
〈バレエへの招待〉(5)作曲家と振付家
バレエに不可欠のスペシャリスト
音楽と踊りがなければ、バレエは成り立ちません。バレエ作品を舞台で上演するうえで決定的に重要な役割を果たす人たちが、音楽を創る『作曲家』と、その音楽に合わせてダンサーをどのように踊らせるかを考える『振付家』です。
バレエの作曲家で第一に名前を挙げるべきは、ピョートル・チャイコフスキーでしょう。三大バレエと呼ばれる『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』の作曲家です。ほかに『火の鳥』のストランヴィンスキー、『ロミオとジュリエット』のプロコフィエフ、『ボレロ』のラヴェル、『ザ・カブキ』の黛敏郎などが有名ですが、バレエ作品は、もともとバレエのために作られたのではない音楽に振り付けられることも多々あります。
振付家では、なんといってもマリウス・プティパを筆頭に挙げなければなりません。彼はフランスで生まれダンサーとして活躍したのちロシアに渡り、三大バレエのほか、『ジゼル』『コッペリア』『海賊』『ラ・フィユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)』の改訂や『ラ・バヤデール』『ドン・キホーテ』『ライモンダ』『シンデレラ』を振り付けるなど、現代に伝わる多くの作品に関わり、『バレエの父』とも呼ばれます。
ますます重要性を増す振付家
モーリス・ベジャール(ベジャール・バレエ・ローザンヌ)、ジョン・ノイマイヤー(ハンブルク・バレエ団)、ローラン・プティ(マルセイユ国立バレエ団)、ウィリアム・フォーサイス(フランクフルト・バレエ団)などの名を聞いたことのある方も、なかにはいらっしゃるのではないでしょうか。
現代のバレエ団では、おおむね1960年代以降に創られた『コンテンポラリー作品』をクラシック作品と同等、もしくはそれ以上の比重で上演することが常識となっています。そのため才能ある振付家の招聘、あるいはその作品を上演する権利をもつことが、バレエ団の経営を左右しかねないほど重要な要素になっています。
サポーター
- お笑いバレエ・ライター。
子どもの頃からの憧れだったクラシック・バレエを30代から習い始める。この経験をもとにバレエ誌に寄稿するようになり、その後、バレエ関連のライターとして活躍中。
プロフィール
最新の記事
- 自分らしく2024年1月5日〈バレエへの招待〉名作紹介(11)『コッペリア』
- 自分らしく2023年12月1日〈バレエへの招待〉名作紹介(11)『ドン・キホーテ』
- 自分らしく2023年10月2日〈バレエへの招待〉(11)名作紹介 『眠れる森の美女』
- 自分らしく2023年7月1日〈バレエへの招待〉(11)名作紹介 『くるみ割り人形』