自分らしく

花の名

花の名

もしも地球とそっくりの星に
私が最初の人間として降り立ったら
そこの花には
新しい名前をつけてみたい

たんぽぽはたんぽぽにぴったりで
どうしたってたんぽぽには負けるけど
新しい名前の候補は
かぷかぷぽくん

すみれはすみれにぴったりで
どう考えてもスミレには負けるけど
そよーれそよれ

チューリップはこれこそ
他には考えられないみたいだけれど
ゆうらむれ

何度も何度も呼んでいたら
花もその気になってくれるかな

花の名前は、本当にいろいろです。百合や、吾亦紅(われもこう)、山茶花(さざんか)、紫陽花のように、漢字から優雅な色や形の意味合いが見えるものがあります。向日葵(ひまわり)もそうですね。そういえば「薔薇って漢字で書けるよ」と、自慢している友だちがいましたっけ。薔薇という漢字の見た目は、花びらが重なり合う豪華な感じに思えます。

片仮名では、グロリオサという花の名が印象的です。夜、見るとエキゾチックな炎色で、細い指に長い爪を私にむかってひらひら差し出して魔女の呪文に似ている名前だと思ったけれど、朝見るとなんだか美しい朝焼け色で、スリムなドレスをひるがえしてダンスをするちょっとつんとしたユリ科のお嬢さんという感じでした。

「気に入っている花を選んで好きに名前をつけていい」といってもらえたら、「花の雰囲気に合うひらがなの音でつけてみたいな」と思って、春の朝の通勤電車のなかで毎日考えてみました。スマフォのメモ帳に書いたり消したり、書いたり消したり。あまりにも有名な花たちなので、それをしのぐ名付けをするのはとても難しく、でも楽しい時間でした。

そういえば、我が子の名前をつけるときには、毎日毎日一生涯呼ばれる名前の響きって、その子の性格の形成に影響していくのではないかと考えたものでした。ひらがなで呼んだとき、やわらかい名前だったらやわらかに、きりっとした名前だったらきりっとなるのではと。結果としては、ふんわりなめらかに名付けた長女はダイナミックに強めに育ち、弾むように元気にと名付けた長男は物腰柔らかに優しく育っているので、その仮説はちょっとゆらいでいます。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・舞踊学専攻教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール