自分らしく
〈バレエへの招待〉(11)名作紹介 『白鳥の湖』
悪魔に愛を試される物語
今回からバレエの名作を10作ほど、簡単にご紹介していきます。ご鑑賞の手引きとしてご活用いただけたら幸いです。第1回は、『白鳥の湖』を取り上げます。一般的に『バレエ』といえば『白鳥の湖』が連想されるほど有名な作品ですが、実際に全幕をご覧になった方は意外に少ないのではないでしょうか。
悪魔ロットバルトの呪いで白鳥の姿に変えられた王女オデットは、母に舞踏会で結婚相手を選ぶよう強要されて悩む王子ジークフリートと出会い、「永遠の愛を誓う男だけが、私の呪いを解くことができる」と告げます。一目で恋に落ちたジークフリートは、翌日の舞踏会に現れたロットバルトの娘・オディールをオデットと思いこみ、オディールに永遠の愛を誓ってしまいます。そのとたん、ロットバルトとオディールは嘲笑を残して去っていくのでした。騙されたと知ったジークフリートは、許しを乞うためオデットのいる湖に向かいます。
ラストは演出家や振付家によって変わる
この作品の最大の見どころは、白鳥の姿に変えられた王女オデットと悪魔ロットバルトの娘オディールを一人のダンサーが一人二役で演じることです。清楚で悲劇的な王女と、妖艶で蠱惑(こわく)的なオディールを演じ分ける演技力が試されるほか、グラン・パ・ド・ドゥでの32回フェッテ(片足でまわる回転技の一種)など、テクニック的にもやりがいのある役柄です。
また、もう一つの見どころは、演出家や振付家によって作品のラストが変わることです。湖に到着したジークフリートはオデットとともに湖に身を投げ、天上で結ばれるというバッド・エンド版もあれば、ロットバルトと戦って勝ち、この世でオデットと結ばれるというハッピー・エンド版もあります。あなたのお好みはどちらですか?
サポーター
- お笑いバレエ・ライター。
子どもの頃からの憧れだったクラシック・バレエを30代から習い始める。この経験をもとにバレエ誌に寄稿するようになり、その後、バレエ関連のライターとして活躍中。
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