自分らしく
〈バレエへの招待〉(2)クラシック・バレエ作品のなかの踊り Part 1
「グラン・パ・ド・ドゥ」はバレエの華
クラシック・バレエ作品でもっとも目を引くのが、主役の男女二人による踊りです。男女のペアでの踊りを「パ・ド・ドゥ」と呼びますが、特に物語最終盤のクライマックスで主役の男女二人によって踊られる踊りを「グラン・パ・ド・ドゥ」と言います。
「グラン・パ・ド・ドゥ」は一般的に、
①男女ペアの踊り
②男性のソロ
③女性のソロ
④再び男女ペアの踊りの4パート
で構成されていて、男性が女性を持ち上げるリフトや超絶回転技、ジャンプが次から次へと披露されます。主役たちの見せ場であり、私たち観客がもっとも興奮する場面でもあります。
バレエ団というのは一種の階級社会であり、通常、主役はトップ・ダンサーが務めます。つまり主役の男女二人で踊られる「グラン・パ・ド・ドゥ」は、バレエ団の中でいちばんテクニックがあり表現力が優れたダンサーが踊るわけで、そのバレエ団のもっともすぐれた部分を見ることができるわけです。
一糸乱れぬコール・ドにも注目
主役たちの踊りのほかにも、バレエ作品には大きな見どころがあります。「コール・ド・バレエ」(略してコール・ドと言ったりします)と呼ばれる、複数のダンサーによる集団での踊りにも注目していただきたいと思います。
『白鳥の湖』の2幕や『くるみ割り人形』の『雪のワルツ』がその代表例ですが、全員が同じ衣装を着け、同じ振付で一糸乱れずに踊るさまは、それだけでも圧倒されます。
ですがよく見ると、すべてのダンサーの腕や足の角度がすべて揃っているのはもちろん、主役が踊る間に辛い姿勢で待っているときでも、微動だにしない姿に驚かされます。「パ・ド・ドゥ」がダンサーの個性の踊りであるならば、「コール・ド」は協調性の踊りです。
サポーター
- お笑いバレエ・ライター。
子どもの頃からの憧れだったクラシック・バレエを30代から習い始める。この経験をもとにバレエ誌に寄稿するようになり、その後、バレエ関連のライターとして活躍中。
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