自分らしく

図書館

図書館

一生かけても
絶対に読めない量の本が
読んでみて、読んでみたら?
口々に誘ってくる

書棚と書棚の間の小径は
本を書いた人たちの膨大な主張と
それを手に取る人たちの
ちょっとした興奮で満ちている

書棚から本を抜く
ページをめくって…戻す
また抜いては…戻す
何かひらめいたら家に連れて帰る

大学受験のころ、夏休みや冬休みは毎日図書館に通っていました。気に入っていたのは、自宅から電車で3駅行った先の図書館。開館時間に行くと、良い席が取れました。自習席はひと席ごとに仕切りがあり、周りの席では六法全書を積み上げている人や浪人生らしい人もいて、それぞれ頑張ったり居眠りしたりしている空気を感じながら私も勉強に励みました。

そんな静かで落ち着いたイメージをもっていた図書館ですが、今は子どもと絵本が読めるスペースがあったり、勉強のテーブルもひろびろと仕切りがなかったり、ずいぶんと雰囲気が明るく感じられる場所になりました。

しかし、図書館というものの常識が覆されたのが、最近旅行で立ち寄ったフィンランドのヘルシンキ中央図書館”Oodi”です。3階建ての建物には木材がたっぷり使われ、美しい曲線を描いています。2階の中央付近にはゆったりとカーブを描く階段状の丘が広がっていて、縦や斜めに木材が走る林のなかで、人々が思い思いに座ってノートパソコンを開いたり、音楽を聴いたり、本を読んだり、寝そべったりしています。電源コンセントもたくさん配置されています。他に椅子やテーブルが丸く配置され、かっこいいデザインのラグマットが敷かれて、グループで討論や談笑をしているスペースもたくさんあります。

ガラス張りになった個室スペースも数多く、静かにひとりで活動している人も、2,3人で作業をしている姿もあります。3Dプリンターや、ミシンや、工作台さえ用意されていて、創造的な活動がそれぞれで楽しそうに行われています。

3階の中央は本棚がずらりと並んでいるのですが、4段程度の低い白い本棚ですのでとても開放的で、間には本物の樹木のポットもあります。端の方は床がなだらかに上がっていき、まるで広々とした丘のようです。最上部に向かうスロープの途中途中にもデザインのよい椅子が配置されています。斜めになった椅子や床に座って思い思いのことをしている人々がいます。よちよちと坂を登ったりおりたりしている幼児もいます。

3階の丘の反対側も緩やかな段々や手すりや大テーブルやラグが配置されて、あちこちで人々が賑やかに集っています。驚いたのは、ベビーカーがたくさん並んでいる近くで、小さな子どもにご飯を食べさせながらおしゃべりしている家族連れがたくさんいたことです。まるで大きな公園に散歩に来ているようです。これならお天気の悪い日も、太陽の出ない時間が長い秋冬にも楽しく出会い、楽しく遊べることでしょう。

モダンなデザインで美しく配置されたいろいろな高さの手洗い場のスペースをまん中にして、ぐるりと個室のジェンダーフリー・トイレもありました。カフェに、映像スペースに、ゲームスペース、音楽スタジオ、グループルーム、広いバルコニー、探検しきれない場所がまだまだありそうでした。

Oodiのような、あらゆる人々のさまざまなニーズに開かれている憩いの場のような図書館が日本にもいつかできるでしょうか

▼ヘルシンキ中央図書館 Oodi
https://oodihelsinki.fi/en/

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール